AIを使って非構造なデータを構造化すると営業やマーケティングのほとんどの業務は自動化することが可能になる

業種、規模を問わず、すべての企業の営業やマーケティングの責任者の方たちは、様々な業務をもっと自動化したいと考えています。しかし、実際にアクションを起こしているかというとそうでもありません。行動を起こさない理由のほとんどは「自動化できない業務がある」というものです。なぜ自動化ができないと思うのかをもう少し詳しく聞いていくと、その対象業務のほとんどが曖昧さがあるものであり、シンプルなルールにすることができないものでした。たとえば、文章の内容を読んで要約を作ったり、様々な調査をして自動でレポートを作成したり、画像をみて内容を把握して分類したりといったようなものです。簡単にいえばエクセルでできそうなものかどうか、というのがひとつの指標になっており、エクセルでまとめることができないようなもの、つまり定量的に把握できる数値などになっていないものはできないというところから思考がはじまっているのです。しかし、そのほとんどはテクノロジーの進歩によって、現在では解決可能、自動化は十分できるものになってきています。

”非構造化データ”が自動化できない最大の原因。自動化するためにはデータを構造化するAIの導入が成功のカギ

近年、注目を集めている技術のひとつにAIがあります。なんとなく自動で考えてくれそうなイメージを持っている方は多いのですが、AIというとなんとも曖昧でしっかりと何ができるかを明言できる人は少ないと思います。実は、何ができるかわからないというのは、そもそもそれ自体が完璧なAIに対する答えとも言えます。最近の定義では、AIというのは現在、自律学習して稼働効率、稼働結果の精度を上げるものということができます。つまり、何を処理するかは定義されていないものであり、どういう業務においても活用できるものであるともいえます。このAIを使っていくことで、営業やマーケティングの業務自動化が飛躍的に伸ばすことができるのですが、そのポイントは”非構造化データ”の構造化にあります。非構造というと少し聞きなれないかもしれませんが、普段、多くの人が目にしている状態です。曖昧で、特徴や工程などが明確に定義されておらず、ひとことでどういっていいかわからない状態のことです。たとえば、営業スタッフがフリーコメントとして記載する形式や記載内容が定められていない日報であったり、分類分けされていない大量の画像ファイルであったりというものが、こうした非構造化データにあたります。こうした構造化されていない状態のものは、キーワード一致の処理やファイル名や説明文章からの類推などでしか処理することができませんでした。こうした方法では最低限の状態にはできますが、人から見るとまったくもって物足りないレベルとなってしまいます。その結果を見た後、必要とされるコストとあわせて考えると費用対効果が良くないという結論に至り、導入見送りというのはこれまでのよくあるパターンです。しかし、本当にこれを自動でできるのかと驚くような結果を出してくれる技術が登場します。それこそがAIです。

AIを使って人間と同じように曖昧な状態のものから的確に結論を出すことができる。ただし、人と同じでたくさんの学習する必要がある

AIといってもいきなりすべてを的確に判断できるようになるわけではありません。目的を絞り、ひとつひとつ学習させていく必要があります。たとえば大量の画像ファイルを、写真の内容ごとにカテゴリに振り分けていく作業があったとします。この時、どういったカテゴリに振り分けるのかを定義し、それぞれのカテゴリにどういう画像が振り分けられるのが正解かを学ばせる必要があります。仮に「営業現場」と「広告」に分けるとします。この場合、まず「営業現場」の画像としてふさわしいものは一体何なのかを、正解を教えるための教師データを教えていきます。次に「広告」の画像についても同様に教えます。これによって、はじめてAIは画像を自動で振り分けることができるようになります。しかし、学習したパターンでは処理しきれない、新しいものが出てきた場合、間違った判定をしてしまうことがあります。それは新しく雇った人が、少しずついろんなパターンを学習しながら的確に仕事ができるようになる手順に似ています。このように学習という作業が必要になりますが、これをしっかりとやることで、人でないとできないと思っていたような曖昧な作業でもシステムが自動で行うことができるようになります。

自動化というとSFAのようにエクセル的な業務部分を自動化することをイメージされる方が多いのですが、実際にはほとんどの作業を自動化で効率化することができます。もちろん、複雑であればあるほどコストがかかりますので、最終的には費用対効果を踏まえた判断にはなりますが、これまでの常識にとらわれることなく、「こういったことを自動化できないか?」と考える習慣が大切です。