自動化は”出口”からではなく”入口”から改善することを意識するのが費用対効果が良いプロジェクトにするためのポイント
自動化のプロジェクトの成否を分けるのは、最初の検討・設計の工程です。ここで確実性が高い自動化ソリューションをどこまで組み上げることができるかどうか、ここにかかっています。多くの場合、自動化の検討は”現状の業務”の自動化を考えるところからはじまります。現在、行っている業務というのは、多くの場合、すでに問題が顕在しています。その問題を改善するために、一般的な現場では生産量を上げることで改善を図ります。それは「担当者を増やす」であったり「担当者の能力を教育で伸ばす」といった人的な施策、「システムを導入する」といったハードウェア的なものであったりします。この方法はすでに起こっている問題というデータを”出口”から考えた結果です。処理しなければならない量を定数として考え、それをさばくことを目的としたものですが、こうした労働集約的なアプローチでは、労働者の管理、採用、教育、システムの構築、保守、改修という新しい作業が新たな問題を生み、負の連鎖が続いていきます。
顕在化した問題を解決するための投資は費用対効果が悪いだけでなく別な問題を生むことも
では、自動化を本気で成功させるためにどうしたらいいのか。その答えは”入口”から考えて実行するというものになります。たとえば、マーケティングなどにおいて、お客様から大量の問合せなどがやってきて、それを適切な時間内で対応できず、解約や売上の機会損失という問題が起こっていたとします。”出口”から考えれば、対応する人員を増やしたり、スタッフたちの作業スピードを上げるために教育をしたりというところに時間とコストをかけていくことになります。しかし、問合せの数がある時から急に減ってしまった場合、どうなるでしょうか。スタッフは余剰員人となり、人件費の問題を解消するために余っているスタッフをどうするのかを検討するという別の問題がでてきます。また、教育をしたものの、思ったよりも全員の平均作業スピードは上がらず、教育内容の見直しを続けるという別の問題がでてくるかもしれません。そうなると、次の問題を解決するために、さらに別の自動化を検討するプロジェクトを立ち上げる必要がでてきます。これでは時間もお金もいくらあっても足りません。顕在化している問題はそれを発生させている原因があります。その原因を放置した状態で、顕在化した問題のみを追い続けるのは費用対効果という面において好ましい方法ではないのです。
問題を生んでいる課題の解消のための自動化を最優先に
自動化を検討する上で重要なのは、顕在化している問題を発せさせる課題に目を向けることです。この課題を解消するための自動化を徹底することで、後工程の問題をすべて一度に解消、又は減少させることができます。先ほどの例であげた、問合せの対応についての問題解決であれば、問合せの対応を自動化、又はその支援を自動化することを着手するために、問合せがなくなる、又は減らすための自動化の検討こそ、重視すべきだということになります。業務を担当していると、その業務をどうするかを考えてしまいがちですが、そもそもその業務がなぜ必要なのか、ここから考える、”入口”からの改善に着手する発想が、自動化の成功確率を上げ、費用対効果を向上させてくれます。