ソフトウェアロボットが生み出す価値は生産性向上だけではない。人間関係による阻害の抑制にも効果もあり

ソフトウェアロボットやAIときくと、多くの人は自動で動き続けて人では達成不可能な結果を出してくれるといったものをイメージします。それも正解ではありますが、そうしたわかりやすい生産性、質の向上といったもの以外でも、大きく役に立つ分野があります。それは多くの組織のなかで声を大にして指摘しにくい「人間関係による阻害」の問題です。

すべて上司、部下が優秀で完璧なチームしかないということはありえない。機能不全に陥る原因のひとつになる人間関係の阻害をソフトウェアロボットが抑制

結果を出し続けるチームには大きく2種類があります。ひとつは全員が結果にコミットしていて、チームとして連携する必要はさほどなく、全員が個として成果を出し続けるタイプです。もうひとつは全員がチームとして連携することで、個だけでは成し遂げられない成果を作り出すことで成果をあげていくというものです。日本の企業の多くは後者のタイプで運営されています。この場合は、部下たちから尊敬されるだけの能力と人間性を持つ上司、そして指示されたことに対して献身的な行動をとることができる部下、こういったスタッフが揃うことで良い結果が生まれます。しかし、そうでない場合は、チーム内に優秀なスタッフをいれたとしてもうまく成果が生まれないということが、どんな組織でもよく起こります。その原因となるのが人間としての感情です

優秀な上司に残念な部下はまだ期待できる組み合わせ。最悪なのは残念な上司と優秀な部下というパターン。人間関係の阻害によって出せるはずの成果がゼロになることも

人間関係の阻害は人ならでは問題で、多くの場合は嫉妬や冷嘲といった負の感情によって機能不全を引き起こします。自分が成果を出せない中で、自分を凌駕する成果を出していく部下を適切に評価できる上司はいるのか。能力も人間性も尊敬できない上司からの命令、指摘などを純粋に受け入れて行動に移すことができる部下がいるのか。人間関係による阻害とは、こうした組み合わせによって起こる感情の問題です。

もし、尊敬していない上司から指摘をされたとしたら、その指摘が正しい場合であっても素直に受け止めて行動することは難しいものとなります。また、それで行動を起こさないからと何度も指摘をし、感情的になってしまった上司がいたとしたら、パワーハラスメントに抵触することにもなり、問題はより一層大きくなります。こうした感情的な問題による機能不全を減らすために、上司と部下の間を取り持つ役割をソフトウェアロボットが担うことによってチーム成果は大きく向上させることができます。

不思議なもので、多くの人は他人からいわれると感情的になるようなことでも、システムなどからの通知はすんなりと受け入れることができます。これは指示の内容だけでなく、指示をしてきた人の性格や能力、そしてこれまでの実績などが大きく影響を与えることを示しています。もし、あなたの組織が完全なチームを作り上げることが難しい状態にあるのであれば、社員教育等によって人の問題を解決することに心血を注ぐよりも、ソフトウェアロボットを導入するほうが投資対効果はいいものになるはずです。

ソフトウェアロボットは数字で説明をしてくれる。精神論に逃げる上司はいなくなり感情的な数字の改ざんがなくなるという効果もある

ソフトウェアロボットのこうした活用方法は人間関係による阻害をなくすというほかに、数字を使ったスマートなビジネス運用という効果もあります。上司による精神論の”とにかく頑張れ”は部下を疲弊させるだけなく、未達成のときに数字の不正操作などの問題を引き起こすことがあります。ソフトウェアロボットは、感情がないため未達成のときに怒られることを嫌って嘘をいうといったこともありません。どんな時も、不都合な数字から逃げずに、判断、報告をしてくれる頼もしい味方です。

しかし、チーム運営に利用するソフトウェアロボットですがもちろん問題もああります。それは人間の慣れによる無視という問題です。現時点でのソフトウェアロボットはどこまでいっても人ではありませんので、やる気を引き出すといったことは苦手です。やる気をなくしており、正しい通知を適切なタイミングで行ったとしても、人がそれを無視し続けてしまえば役には立ちません。この時、人であったならば、様々な方法でやる気を引き出したり、無視しないように働きかけることもできますが、こうした行動がとれないため「やる気がなくて無視するようになったスタッフ」に対しては無力であるという弱点もあります。