なぜ構造からの設計が好ましいのか

ツール導入が成功している気がするけど不十分?管理と教育が必要なのはなぜ?

ツール導入は単一工程で上手くいっているように見えても 複数の工程でみると問題が生まれている ことがよくあります

ノーコードツールやローコードツール、現場のいろんな人が業務効率を上げるための アプリケーションを自在に作成、管理できる魅力あるものですが、 無闇に現場にばら撒いた結果、問題が起きてしまっている組織もあります。 まず、これらのツール自体に問題はありません。 では、何が問題なのかというと、ツールを使う人が 全体の工程、影響範囲を理解していないことが問題です。 具体的には"データがどこからきて、どこにいくのか”ということを 踏まえていないために問題を起こしています。

そのデータを、組織の誰が、どこで、どのように使っているのかを理解しておく必要がある

データは人が手動で入力したものもあれば、システムの定期処理などで生成したものもあります。 必ず誰かが作り出しているから存在しており、そして生み出されたデータを利用して、 次の工程の人が別の業務で利用していきます。もし、その影響を考慮しない人が データのレイアウト、値の規則を勝手に変えていったとしたら大変なことが起きます。

この問題の代表例としてあるのが住所です。 たとえばAという部署では1つのセルのなかに都道府県から市区町村、町名番地などすべてが入っているとします。(例:【セルA】 東京都千代田区1−1ー1 東京千代田ビル11階)  それに対してBという部署では、都道府県など細かく分割して複数のセルに入っていたとします。(例:【セルA】 東京都 | 【セルB】 千代田区 | 【セルC】 1−1ー1 東京千代田ビル11階) 

当然、ふたつの部署でデータをやりとりするときは、つなぎこみで問題が起きるので調整作業が必要です。 住所データを使うことを諦めた場合は、企業IDなどで特定して、住所データは各々の部署のデータを参照するという方法をとるでしょう。 しかし、どちらかだけ住所データが更新されていたらずれが生まれるので、 最終的にはつなぎこみのためのデータ変換アプリが必要になります。 本来は簡単に連携できるはずが、データのルールが共通化されていないだけ追加処理が必要となるため生産性は低下しています。 さらに 変換アプリでつなげているのに、A部署が事前の連絡なく、住所データの構造を変更したとしたら、B部署では様々なオペレーションがとまるため、生産性はさらに下がっていきます。 これは組織単位の話ですが、これと同じようなことが個人単位で大量に起きてしまう可能性があるというのが ”管理なきツールの導入の結果”です。

優れたツールやAIで継続的な成果をだすためには全体の管理者とルールを用意する

ノーコードツール、AIといった優れたツール類は、 指示に対してのアウトプットの時間を大幅に短縮することに優れています。 しかし、適切に使い方ができない人が使うと、部署や組織レベルでみると短縮する時間よりも余計な作業時間が多くなってしまうことがあります。 これを回避し、適切な効果を手にするために管理者と教育を用意する必要があります。 管理者がルールを作り、定期的に社内のアプリやデータの調査、検証をすることで、 ツールの良さはしっかりと活きた上で、生産性を下げる大惨事を防ぐことができるようになります。 また、利用するすべての人に基本的な知識と動作の教育を提供することで、 組織としての生産性向上はさらに高いものとなります。